ZAZEN BOYS / downy - 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

 

渋谷のduoにて、

ZAZEN BOYSdownyのツーマンを見に行ってきました。

 

18:30オープン / 19:30スタート

19:15頃現場入りしたので、会場はすでに一杯でした。なんとかギリギリステージが見えるスペースを確保したんですけど、真正面に背の高い男が絶妙に立っていて、視界のコンディションは不十分だがしょうがない。遅く来た代償だ。

 

まずは、downyから。

downy、2018年以来、久しぶりに見たんですけど、やっぱりカッコいいです。

また、タイトになってませんか?まだタイトになるんだ。これ以上タイトになれるんだ。タイトすぎてすごい。

このバンドは本当にリズム隊が鬼のようにストイックですね。downyといえば変拍子が特徴的ですけど、変拍子を超越してもはや変拍子じゃなくなってませんか? 自然すぎて変拍子ということを忘れさせられるというか。もう自然界のリズムになっている気がする。ちょっと何言ってるか自分でも分からないけど、そういうことなんだと思う。

あと、青木ロビンのギターの音カッコ良すぎ。アンビエントからギャーーンってギター歪む瞬間、まじでカッコ良すぎ。これ、全ギタリスト全員がやりたいことだと思う。

更に、そのギターが最もカッコいい瞬間の、ギャーーンって歪む瞬間、VJが映像をバシ!と切り替えてきますからね。あのインパクト。この瞬間に全ての命をかけてる感じ、もうこの瞬間のために曲作ってるまでありそう。

そして、SUNNOVAのサンプラー、改めて凄い技術ですよね。特に青木裕のギターの音のサンプリングって、例えばギターのシューゲイズなノイズの音を、おそらくピッチを変えたり、ブレイクを入れたり、リアルタイムで青木裕サウンドを操ってるあの感じ、「これもう、新しい楽器じゃん」って思いました。とても斬新な技法ですよね。

downyの音楽が新しい領域へ更に進化したのだと実感しました。

downyというバンドは、「電子音やノイズを操って芸術を作り出すアート集団」だと勝手に思っています。ノイズという不規則な電子音を操って、規則的な幾何学模様のような空間にしているという実感です。

ちょっと何言ってるか自分でも分からないけど、そういうことなんです。

 

 

そして、ZAZEN BOYS

 

downyが終わって、ステージが転換し、スタッフがZAZEN BOYSの機材をセッティングを行い、楽器のサウンドチェックをしていると、ZAZEN BOYSのメンバーもステージに現れ、一緒に転換の準備をしていました。そういう彼らのインディーズ精神、とても好きです。

向井さんがギターを構えて、ジャ!ジャ!っと何気なく音を出した瞬間、向井秀徳の音になったのです。不思議ですよね、さっきまでスタッフが散々同じギターで音を出してたのに、さっきと全然音が違うんですもん。セッティング同じ筈なのに。向井秀徳の音って向井秀徳にしか出せないんでしょうね。

そして、まだスタッフがステージ上にいる状態で、

「じゃ、始めようか」って、「1!2!3!4!」っていきなりライヴ始まるんすよ。スタッフも慌てて袖に履ける感じで。で、その一発目の音がどえらいグルーヴなんですよ。一瞬にして空気が変わるんです。僕は息を飲みましたよ。

 

なにこのタイトな音楽…

 

タイトすぎるんです。

 

さっきdownyでも散々タイトだタイトだって言ってましたけど、それの比じゃないタイトさなんです。いや、比べるもんじゃないんだけど、たぶん、世界中探してもこんなタイトな音楽演奏するバンドなかなかいないんじゃないすかね。

もう1音1音が聞き逃せない、なんていう緊張感なんだ。僕は固唾を飲んで演奏に没頭した。

しかし、僕はあることに気がついてしまった。

冒頭で、「真正面に背の高い男が絶妙に立っていて、視界のコンディションは不十分だ」って言っていたけど、その男、よく見ると双眼鏡で向井秀徳をガン見していたのです。

最初、カメラで写真でも撮ってんのかなって思っていたんだけど、そうじゃない。双眼鏡だ。ずっと向井秀徳を双眼鏡で見てるんだ…。

あの、渋谷duoってそんな双眼鏡を使うほど広くないんすよ。ライヴハウスにしては大きな会場だけど。

もう、その光景がシュールすぎて、それに気がついてしまってから、もう気になって気になってライヴに集中できない。その状況が面白くなっちゃってもうダメだ。狂気とはこういうことなんだろう。シュールと狂気は常に紙一重なんだなあ。

ステージ上では刻一刻とスリリングな演奏が起こっており、僕は固唾を飲んで演奏に没頭した。

 

「This is 向井秀徳!」最後の曲が終わり、メンバーが袖にはけて行き、自然とアンコールの拍手が鳴り止まずに、みんなアンコールを期待して拍手して待っていたら、袖から向井秀徳青木ロビンが缶ビール片手に肩を組んでステージに現れたので、意外なツーショットに会場はどよめきが起こったんだけど、向井秀徳青木ロビンは肩を組んで笑顔でみんなに手を振って去って行った。そして客電が点いてライヴが終わった。

「え?終わり??」

謎のカーテンコールで幕を閉じた。予定調和など気にしない潔さを感じました。

 

両バンドとも、本当に素晴らしいライヴでした。