ななみんと最後の握手をするために東京から京都まで乃木坂46の握手会に行った話

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乃木坂46橋本奈々未さんが来月の2月に卒業をしてしまうということで京都で開催された握手会に行ってきた。

 

東京から。

 

東京から握手会に行くために京都に行ったということです。

 

アイドルの握手会のためだけに東京から京都に行くってすごくないすか。一線を超えてしまった感。やばいですよね。わかってる。そりゃあ行くか悩みましたよ。だって遠いし京都。行けるわけないでしょ。でも、ななみんと握手できる最後の握手会なんですよ。もう二度と会えなくなるんですよ。最後って思ったらいてもたってもいられなくなって、京都まで行っちゃいました。ちょっと引かないで、僕の話を聞いてほしい。

 

実は前回も行ってるんです。握手会。幕張で。

ななみんと握手するためにはじめて乃木坂46の握手会に行った話 - 音楽と映画のブログ

 

このときの幕張ははじめてだったので、勝手がわからなすぎて、正直消化不良というか、少し悔いが残っていた。今回の京都が本当の最後ということで、もう最後まで見届けなくては気が済まなくなってしまったのです。

 

長い人生のたった一日や二日、こんな経験に費やしてみるのも悪くない。

貴重な体験だ。

なぜだろう、言い訳を並べているような気持ちになってる。アイドルの握手会のためだけにわざわざ京都まで遠征に行くことがよっぽど後ろめたさを感じていたのかもしれない。

 

当日は土曜だったので、その日の夜は一泊して、日曜日は京都を観光したらいい。京都観光がオプションで付いていると考えると途端に楽しくなった。とりあえず安いホテルを予約した。もう後戻りはできない。

 

ところが前日の夜、ネットがざわついた。「ななみんが風邪をひいて体調が悪い」という情報が。これはまずい。京都まで行ったはいいけどななみんがいないなんてことがありうるのか?いやいや、ななみんがいないのに京都なんか行ってどうする。心がざわついた。

そして、さらに、週末の京都の天気は雪が降るかもしれないという。え?なに、京都って雪とか降るんすか。

「ななみん体調不良」「天候は雪」

目の前がクラクラしたので寝ることにした。明日考えよう。

 

 

7:00 起床

8:00 出発

9:30 新横浜

新横浜から新幹線で京都に向かう予定だったが、ななみんが欠席なら新幹線に乗らずに行くのをやめようかと。ギリギリまで情報を待った。結局「ななみん欠席」という情報は公式からはなかった。もう腹を決めていく事にした。新幹線のチケットを買った。もう後戻りはできない。

 

9:40 新幹線

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信頼の崎陽軒。新幹線に乗ったら崎陽軒の駅弁を食べるのが楽しみになっている。はじめてチャーハン弁当のほうを食べたんだけど、僕は白米のシウマイ弁当のほうが好きだなって思った。あのモチモチした白米が好き。

 

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名古屋をすぎたあたりから本当に雪が降っていた。

しかも猛吹雪。なにがどうなってんだこれ。どこなんだよここ。いったいなにが起こってるんだよ。

 

12:00 京都

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まじで来てしまった京都。

でも、晴れてる。良かった。名古屋あたりで猛吹雪だったけど京都に着いたら晴れた。

ツイッターで現場の状況を確認すると、ななみんはどうやらミニライブは最後の曲の「サヨナラの意味」の1曲だけ出てきたらしい。よかった。ななみんはちゃんと居るんだね。

 

会場は、京都駅から電車で15分ほどの竹田という駅が最寄りらしい。

 

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竹田駅からはさらに15分くらい歩いていく。

いまんとこ京都に来た感がない殺風景な景色。神奈川県の川崎あたりって言っても気づかれないだろう。京都に来た実感が全くなかった。

 

会場に向かう前にトイレに行っておきたかった。これから長時間並ぶ。ここからが長い戦いがはじまる。途中にコンビニがあった。すでにそのコンビニのトイレが行列になっていて30分くらい並んだ。すでに戦いははじまっていた。

コンビニを出ると雪が降ってきた。やっぱりこの日の天気は雪だった。寒さとの戦いでもあるのか…。

 

13:30 現場到着

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京都パルスプラザという会場で、乃木坂46全国握手会が行われていた。

会場の全貌とかわからないけど、とにかく列の最後尾を探した。「最後尾はこちら」の看板を持ったスタッフが立っていたあたりの人の流れについて行ったが、いつまで歩いても最後尾にたどり着かない。道路の角を曲がっても永遠伸びている行列。つぎの角を曲がっても、そしてまた次の角を曲がっても…

結局会場を一周して最初の道路に戻ってきた。行列が一周していたのである。

こんなことなら逆から行ったほうが早かった。

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そして、並んでいるあいだもどんどん列が伸びていって、列が2重になった。もしかして2周してんのか…?

パルスプラザという会場が狭いのか、人が集まりすぎているのか、なにが起こっているんだろうか。会場の全貌がわからないままとにかくひたすら並んだ。

 

途中、雪が降ったり止んだり、基本雪が降っていた。どんどん体が冷えてゆく。ビル風も強かった。寒い。とにかく寒かった。13:30から並び始め、会場の入り口が見えてきたのは15:30くらい。2時間並んでもまだ中に入れない。

ここで、心配がよぎる。一応、公式の予定では、握手会開場受付:12:45〜16:00(予定)と書いてある。いまの時刻は15:30。あと30分では到底中には入れないくらいまだまだ列は長い。

え?まさか16:00で入り口閉まったりしないよね?というか自分の後ろも相当な長さの列が永遠続いてるけど?

 

この状況で入り口が閉まったら暴動が起きるんじゃ…。恐ろしい。中に入りたい。こんなところでギブアップしたくない。せっかく京都まできたのに…。こんなことならもっと早く来るんだった。この時間帯がとにかく不安でハラハラした。

すると、会場のスピーカーからアナウンスが流れた。周りの並んでる人がみんな静かになった。「まって!なんか言ってる…!」まるで神のお告げでも聞くかのように、みんなおとなしく耳をかたむけた。

 

「入場の受付ですが。現在並んでいる方たちで締め切りとさせていただきます」

 

ということは…、

みんな入れるんだね!ここにいるみんな入れるんだね!よかったね!みんな入れるんだよ!よかった。ほんとうによかった。東京からはるばる京都まできて、雪のなか3時間並んで直前で門前払いなんて、そんな残酷なことがあってたまるか。あまりにも哀れすぎる。そんなことになっていたらたぶん泣いていたと思う。

 

16:20 入場

ようやく中に入れた。会場の中暖かい…。寒かった。本当に寒かった。

中に入って安心したのか、ずっと寒かったというのもあり、猛烈にトイレに行きたくなった。ひとまずななみんのレーンの位置を確認し、すぐさまトイレに向かった。

 

16:25 トイレ

もうひとつ心配なことがあった。ななみんのレーンの受付の締め切りが何時なのか。前回の幕張のときはたしか、17:15には締め切っていた。トイレの列が絶望的な長さだった。いったいどれくらいトイレに並ぶのだろうか。まさかトイレに並んでいる間にななみんのレーンが締め切られるなんてことも起こりうるという状況かもしれない。トイレに並んで終わってしまうかも。そうなると、僕ははるばる京都まで小便をしに来たことになってしまう。

かといって、このまま小便を我慢したままななみんのレーンに並ぶのは不可能だ。前回の幕張は22:00までかかった。長い戦いはまだはじまってもいないのである。

ちなみにトイレの最後尾は会場の外まで伸びていた。また外で並んでいるのである。寒い。寒い。トイレ に い き た い…。

あれ、なんだこれすごく辛いぞ…。前回の幕張より過酷かもしれない。

30分ほどで再び中に入り、トイレの入り口が見えた。ああ、もうすぐだ…。

しかし、列の先を見ると入り口よりもさらに壁の奥に列が伸びている。嫌な予感がした。壁の先に進むと、会場内を蛇行する何重もの列が待っていた。

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絶望した。意識が朦朧となって目の前がチリチリした。ここで本当に心が折れそうになった。もうこのまま外に出てコンビニのトイレに行こうかと何度も葛藤した。再入場不可なので出口を出ると一巻の終わり。それにしてもなんで会場内のトイレはこの小さい一箇所だけなんだ?ありえない。1万人は来てるというのに。

 

なんとか無事にトイレに行って。ななみんのレーンの最後尾に向かった。

 

17:00 ななみんレーンに並ぶ

ななみんのレーンの最後尾は会場の中に納まりきれず、外にまで列が伸びていた。また外で並ぶ。思えばずっと外で並んでいる。外はすっかり暗くなり雪も降っている。寒い。ここで来る前に買っておいたパン(ランチパック)を食べる。お茶も買っているけどまたトイレに行きたくならないように、ちょっとだけ飲む。喉を濡らす程度に数滴ずつ飲む。一体どんなサバイバルなんだ。修行?

会場中の状況がわからずに、暗い中、雪が降っていて、一人なので暇だからiPhoneで暇を潰そうとするが、寒さで手の感覚がなかったのでiPhoneを見る気力もなかった。ずっと下をむいて寒さに耐えた。

 

18:30 会場内へ

外から1時間半並んでようやくふたたび中に入れた。暖かい…。外は地獄だった。やっと落ち着いて会場の中の様子が見ることができた。

会場に入ってからは、意外とスムーズに列が動いていて、サクサクと進んだ。あれ?意外と早くななみんのところに行けちゃう?途端に緊張してきた。

ここで不思議な感覚になった。「会いたいけど会いたくない」こんだけ並んで早く列が先に進んでほしいと思っていたはずなのに、いざもうすぐ会えるという段階になったら、まだ会いたくないという複雑な気持ちになった。会ってしまったら終わってしまう。「まだこの列に並んでいたい。」自分でもよくわからない。どんな精神状態だったのか、疲れすぎておかしくなったのかもしれない。

 

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並んでいる列が縦に折り返していて、メンバーがいるところはパーテーションで覆われているんだけど、パーテーションに列が近づくたびに隣のレーンの西野七瀬が隙間から見えた。西野さんはずっと笑顔で握手していた。けっこう近くで見れたので得した気分になった。というか、握手するペースがめっちゃ早い。2秒か1秒くらい。早すぎる。まるで餅つきのように次々と握手していた。

ということはきっとななみんもこれくらいのスピードなんだろう。そろそろ最終コーナーにさしかかってきた。中に入ってからの展開が早かった。どうしよう。緊張してきた。

 

19:20 ななみんと握手

ななみんが見えてきた。ベンチコートのような防寒着を着てマスクをしていた。手前の壁には「今日は風邪をひいてあまり大きな声が出せません。」「握手はやさしく握ってください。」という張り紙がしてあった。

今日はななみんは風邪で体調が悪い。昨日からみんなそれを心配していた。もしかしたら今回は欠席になるかもしれなかった。体調が悪いのに長い時間我々に握手してくれてありがとう。

前回、幕張メッセのときははじめてで、テンパりすぎてよくわからない感じで一瞬で終わって、頭が真っ白になってなにも言えなかったという悔いが残っていた。今回は落ち着いて「ありがとう」とだけはちゃんと言いたい。なにに対してのありがとうなのかわからないけど。順番がきた。

 

「ななみん、ありがとう。」

 

ちょっと食い気味で言った。歩きながら言ってたかもしれない。もしかしたらちょっと早口だったかもしれない。

握手をし「ありがとう〜」という返事。一瞬(0.001秒)間があり、なにか言おうと息を吸った瞬間、「お時間でーす」とスタッフに両肩をガッと掴まれた。手を離して、名残惜しく振り返ると去り際に手を振ってくれた。

 

その間、およそ2秒。

 

なにこの刹那な記憶。去り際に手を振ってくれたななみんがスローモーションで脳内で再生される。な、ななみーーーん!!!!!

 

そんな感じで僕の京都遠征は終わった。無事にななみんと握手できて本当に良かった。京都まで来て本当に良かった。いろいろ大変だったけど楽しかった。

 

そのあとそのまま会場の外に出るのが名残惜しくて、しばらく会場の中でまだ並んでいる人の列をただ眺めていた。

僕と同じように、会場にはまだ人が大勢なんとなく残っている。 皆も行列のほうをただただ見ている。みんなも帰るのが名残惜しいんだろう。

列が終わって終了したレーンは終了のアナウンスが会場に流れる。そのたびに拍手が起こったり、メンバーが帰っていく姿がパーテーションの隙間からチラッと見えるので、みんな必死に手を振っていた。こちらに手を振ってくれるメンバーもいたりして、それなりに盛り上がっていた。それを目当てにみんな残ってるのかと思った。

 

そんなギャラリーを、誘導するスタッフがいたりして、柵で区切っていた。

ただ、遠くの隙間からチラッと一瞬だけ見えるメンバーを見るためだけに残ってる人たちなのに、まるでこれからライブがはじまるかのような雰囲気になってるのがシュールすぎるというか、一体なんだこのバイブスは。

僕もそのギャラリーの一人だったわけだが、僕はもうキリが無いから帰ろうと思っていたけど、ちょうどそのとき、ななみんのレーンが休憩になっていて、ななみんが戻ってくるときに歩く姿が見えるかもしれない。それを見届けてから帰ろう。そう思っていた。ななみんのレーンは一番端でまだまだものすごい人の行列になっていた。

レーンが次々と終わっていくと、パーテーションもスタッフが片付けはじめていて、真ん中あたりがポッカリと大きな隙間ができていた。そこに休憩が終わったななみんが歩いてくる姿が見えた。スタッフが3人くらい周りに囲んでいて、ギャラリーの野次馬たちは遠くから必死に手を振っていたが、ななみんは振り向きもせずまっすぐ歩いていた。

その歩く姿は女王のような風格があった。スターウォーズのアミダラ姫が大臣を従えて歩くシーンのようだった。

僕はその場面を見届けて帰ったのだけど、あとから知ったのだけど全て終わってから、ななみんからの最後の挨拶があったらしい。「だからみんな残ってたのか!」と。どうせならそれまで待てば良かった。

 

それにしても、アイドルってすごいんだなって改めて思った。僕はおそらく握手会というものにはもう行くことは無いのかもしれない。悔いは無い。やりきった。

そして、今後こんなに長い時間行列に並ぶことなんて無いかもしれない。一生分並んだ。貴重な体験だった。人生観が変わりそう。

アイドルという職業は大変なんだなって痛感した。こんなに何千人何万人と握手し続けたら悟りを開きそう。神に近づいてしまうんじゃねえのかと。

あらためて尊敬します。アイドルってすごい。

 

そして、ななみんありがとう。卒業おめでとう。お疲れ様でした。

 

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