LUNATIC FEST.6.28(SUN)@幕張メッセ
LUNA SEA主催のフェスに行ってきた。
2日間開催の2日目の日曜日のほうに行ってきた。
LUNA SEAが主催ということで、ビジュアル系のバンドが一同に勢揃いしたら、とんでもないメンツが集まってしまった。X JAPANとBUKU-TICKが発表になったタイミングで僕は行く事を決意した。
このメンツの中で過去に唯一ライヴを見た事があったのは15年くらい前に見たシャムシェイドくらいである。普段なかなか見ることが少ないビジュアル系のバンドを一気に消化できるチャンスである。ビジュアル系は僕が高校生の頃にブームが全盛期で、もろど真ん中の世代だ。青春時代の思い出を清算したかった。当時のビジュアル系ブームとは一体なんだったのかを改めて確認したかった。最強のバンドだとか伝説のバンドだとかファンタジーの世界なんじゃないかと。相当美化された文化だったんじゃないかと疑っていた。この目で確かめておかないといかん。という、謎の意気込みで臨んだわけである。
1日目のX JAPANも見たかったがチケットが取れなかったので2日目だけ行くことに。
それではまずは、2日目の日曜日のタイムテーブルをご覧下さい。
タイムテーブルを確認すると1つ目のオープニングアクトからLUNACYが出てくる。これは朝一から行かねばならぬ。そして14:00のKA.F.KAからノンストップで見たいものが並んでいる、いつご飯を食べればいいんだ。
10:00頃には幕張メッセに到着。
入場は特に並ぶ事もなく意外とすんなり入場。チケットとリストバンドを交換。
ちなみに会場は幕張メッセの3ホール分をぶち抜いた空間にステージが3つある。
おそらく2〜3万人くらい入りそう。
会場の雰囲気を味わうのもそこそこに、オープニングアクトのLUNACYを見る為にいそいそとステージに向かった。
11:00〜 SHINE STAGE
LUNACY
LUNACYというバンドは、LUNA SEAがインディーズ時代LUNACYという名前だったのだけど、メジャーデビューのタイミングでLUNA SEAに表記を改名したらしい。
つまりLUNACYの中身はLUNA SEAなんだけど、インディーズ時代の曲を演奏するよってことらしい。
ルナシーはインディーズ時代とにかく尖っていた。いまの洗練された音もいいけれど、当時の狂気に満ちたナイーブさとか、初期衝動の勢いも忘れてほしくない。上の動画が現在のルナシーで、下の動画がインディーズ時代である。この時を経た変化を生で楽めるという趣旨である。
現在のほうがあきらかに演奏力が向上しているいまのLUNA SEAが、インディーズ時代の隠れた名曲をアップデートして聴かせてくれるという贅沢。
しかしオープニングアクトということで3曲だけだった。3曲はさすがに物足りなかった。いや、このあとトリでもLUNA SEAが出てくるのでむしろお得なサービスと思おう。
一番期待していた「MECHANICAL DANCE」という曲はやってもらえず。
11:35〜 MOON STAGE
凛として時雨、とても気合いが入っていたように感じた。彼らはLUNA SEAやX JAPANに憧れてバンドをはじめたと公言しているので、今回のフェスに誘われて嬉しかったに違いない。
とても3人が出している音とは思えないグルーヴで、圧倒的な演奏力だった。鬼気迫るくらいの集中力でLUNA SEAに対するリスペクトを演奏で示したように感じた。
先に出ていたLUNACYをしのぐ勢いだったので「時雨が今日のベストアクトかもしれない…どうしよう」とフェス自体の趣旨が心配になるくらい素晴らしいステージだった。
このあと、14:00のKA.F.KAまでは見る予定は無い。お昼ご飯を食べておこう。
が、フードエリアに移動して僕は唖然とした。
もの凄い行列だった。客のキャパに対してあきらかに食べ物屋の数が少なすぎるのだ。並んでみたものの列が全く進まない。諦めて外に出るも、幕張メッセの周辺に食べ物屋などほとんどない。近くのマリンスタジアムの売店まで行こうかすら思った。
深刻な食糧難。
結局一時間くらい食べ物を求めてウロウロしたけど、なにも食べられずに一旦諦めた。
しかも、休憩をしようと思っても、外は暑い、中はくつろげない、どこにも居場所がない、「あ、これ、サマソニよりキツいわ…。」
サマソニもたいがい環境面での居心地の悪さはひどいと定評だけども…。
心が折れそうになった。一番辛い時間帯だった。
とりあえずご飯は一旦諦めて、すこし様子を見ることにした。
14:00〜 SHINE STAGE
KA.F.KA
Vo:ISSAY (Der Zibet)
G:土屋昌巳
key:森岡賢(SOFT BALLET)
B:ウエノコウジ(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / the HIATUS)
Dr:MOTOKATSU(THE MAD CAPSULE MARKETS)、
という、メンバーがやけに豪華である。
土屋昌巳といえば音楽プロデューサーというイメージ。僕はBLANKEY JET CITYをプロデュースした人という印象が強い。土屋さんのギターが見れただけで十分嬉しかった。
途中でLUNA SEAのギタリストのスギゾーも飛び入りゲストで出てきて、土屋さんとスギゾーのツインギターという貴重なものが見れてテンションが上がった。それも珍しいと思ったけど、ウエノコウジとスギゾーが同じステージに立っているというのもかなり貴重なものを見たのではないかと。というか全員すごい。濃厚だった。
あと、はじまる前のリハでサウンドチェックをおそらく本人達がやっていたっぽくて、ベースの音が鳴ったとき完全にミッシェルのイントロだった。
14:35〜 MOON STAGE
2000年以降のビジュアル系バンドは正直あまり知らない。ビジュアル系の全盛期が90年代だったとすると、MUCCはその次の世代のビジュアル系なのかもしれない。
MUCCは「海外に進出したビジュアル系」という印象。ヨーロッパとかでフェスに出たりツアーに出たりしていたらしい。ヘビーロックとかミクスチャー系のラウドな感じ。イギリスのEnter Shikariってバンドに近いって思った。
ライヴの1曲目のベース音の低音の太さに「おおっ」って思ったんだけど、どうやらSEをかぶせてるっぽくて、生っぽくないなっていう違和感を感じてしまった。音を重ねてドーピングしてる感じ。そのドーピングに音が左右されてる気がしてグルーヴにムラがあった気がした。
そろそろフードエリアが空いているかもしれない。MUCCに人が集まってるいまご飯を買うチャンスだ。MUCCの途中でご飯を食べに行く事にした。
豚丼(味噌味)と焼きそば(塩味)
ガッツリ食べて元気を取り戻さないといかん。ここからは見たいものがノンストップだ。気合いを入れてたくさん食べた。
15:20〜 FATE STAGE
[Alexandros]
当初[Champagne]というバンド名だったが[Alexandros]に改名したことでも話題となったバンド(どっちも読み方が覚えにくい)
ボーカルが帰国子女で英語が堪能という、いまいちばん洋楽に近い邦楽かもしれない。英語詞と日本語詞がナチュラルに融合している気がする。最近やけにプッシュされている注目のバンドである。今年のフジロックにも出演予定。
PVはいいけどライヴはどうなんだというところで、いや、ライヴ自体全然良かったんだけど、なんだろう気持ちがフワフワしていたというか、集中力が散漫だった。(僕のコンディションが)
ビジュアル系が集まるという偏ったフェスに、正統派のロキノン系バンドが紛れてしまった感は否めなく、浮いているように感じたのが尚更に普通に感じてしまったのか。きっと彼らにとって超アウェーだったと思う。本人達も気負いというか肩の力が入ってるようにも感じた。客への煽りが多めだったのも気負いだったのか、もっと淡々とやるほうが持ち味なんじゃないかと思った。
そりゃあこんな環境じゃやる方も見るほうも浮き足立つのは仕方ない。だってみんな次のグレイを見るために客が途中で隣のステージにどんどん移動しているんだからそりゃあやりにくかっただろう。
16:00〜 MOON STAGE
ステージ脇から4人が出てきた瞬間の「ホンモノだ感」がすごかった。実在してたんだね。っていう。キャラクターとしての存在感というか「ミッキーマウスが出てきた。」みたいな感覚に近い。そういう感動ってなかなか貴重である。ミーハーって楽しい。
会場はグレイを見るための人でいっぱいになった。この日一番黄色い歓声が多かった気がする。
彼らはなぜこんなに人気があるのか理由が分かった気がした。すごくいい奴なのである。特にボーカルのTERUが隠しきれないいい奴っぷりだった。なんかすげえ謙虚だった。フェスだとファンじゃない人も集まるから「知らない曲があるかもしれないけど、みんなが楽しめる曲を選んできました。」とか、なんの嫌味もない感じで言うんだけど、いや、こんなイベントに足を運んでる時点でグレイ知らない人とかいないだろうよ。そういえば数年前にサマソニで見た矢沢永吉も同じように謙虚だったのを思い出した。スターってこういうことなのかと。
そして本人達は楽しそうに演奏していて、それを見ているお客さんもみんな楽しそう。
会場はとにかく多幸感が充満していた。
17:00〜 SHINE STAGE
D'ERLANGER
僕はD'ERLANGERというバンドには特に思い入れはないけど、瀧川一郎のギターには思い入れがある。D'ERLANGERが解散後のBodyとCRAZEというバンドから知った身なので、D'ERLANGERはよく知らないけど瀧川一郎のギターは好きという。
力強いダウンピッキングに、ハーモニクス混じりのハイファイな音、ギターなんて多少走ってるくらいでいいんだよっていう疾走感のギターたまんないっす。
中学生の頃の憧れでした。本当にありがとうございました。
17:40〜 MOON STAGE
とにかくボーカルの櫻井敦司の存在感がすごい。ジョニー・デップかよって思った。たぶん日本人じゃないんだと思う。規格外の存在感。一点を見つめるまっすぐな鋭い眼光に取り込まれそうになった。
BUCK-TICKが貫禄がありすぎてラスボス感が半端なかった。なんか急に会場のスケールが広がった気がした。あきらかに他とちょっと何かが違った。
そして今井さんのサウスポーのギターがカッコ良かった。左利きフェチにはたまらない。こういう天才肌のギタリスト大好き。
しかし、一番みんなが聴きたいと思ってる筈の「悪の華」という代表曲をやってくれなかったのが残念。
19:00〜 MOON STAGE
いよいよ当イベントの主役LUNA SEAである。
20年の時を経てようやく見る機会に恵まれ、いままで散々色々と疑っていたんだけど、ひとつはっきりさせたいことは、
「LUNA SEA、超カッコ良かった。」
もう最強のバンドでいいです。
オープニングのLUNACYと、LUNA SEAが全く違う音だった。同じバンドとは思えなかった。だんぜんLUNA SEAのときのほうが音が洗練されて良くなっていた。
とにかく上手い。なんなんでしょうかあの演奏レベルの高さは。すべていい音。特にスギゾーのギター、なんだあれは。あの人、ギュイーンってカッコいい音出させたら日本一かも。どんなエフェクター使ったらあんなんなるんだよ。どうやったらあんな風に音が伸びるのかとか、ずっとスギゾーばっか見てました。イノランのギターの音量がちょっと小さかったのが残念。イノランはアルペジオの音が美しいので好きです。
スギゾーとイノランの、二人のギターの役割は本当に絶妙なバンドだと思う。スギゾーは徹底してソロとノイズの音色にこだわり、イノランは徹底してカッティングとクリーンのアルペジオの音色にこだわっている。レディオヘッドのジョニーとエドの関係性に似ている。
LUNA SEAはビジュアル系というよりポストロックだと思う。90年代からポストロックだった時代を先取りしたバンドだったと思う。見ることができて本当によかった。2007年に再結成してから、いまが一番カッコよく脂がのったバンドなのかもしれない。
LUNA SEAのライヴが終わって最後に「それじゃあみんな、隣の人と手を繋いで、みんなでひとつになろう!」って客同士で手をつなぎ出して、「えっ、そんなのあんの…」って動揺してあたふたしてたら、僕だけ手を繋いでなくて、「せーの!」ってみんないっせいにジャンプして「ありがとう!!」って終わった。
恥ずかしがってたらそんなことになった。知らない人でも照れずに手を繋いでおくべきだ。その国のしきたりには従っておくべきだ。僕はまだSLAVE(ファンの愛称)の仲間にはなれていないらしい。
それと、LOVELESSという曲が一番楽しみにしていたのだけどやってくれなかった。むしろその曲を聴きに行ったくらい楽しみにしていた曲だった。
もう一回見に来いってことなのかもしれない。
次があるとしたら次は必ず手を繋ぎます。