FAT WRECKED FOR 25 YEARS@幕張メッセ
Fat Wreck Chordsの25周年のイベント「FAT WRECKED FOR 25 YEARS」に行って来た。Fat Wreck Chordsというのはアメリカのインディーズのレコードレーベルで、パンクバンドが多く所属している。「FATといえばメロコア」というイメージ。
そのレーベル出身のバンドが集まったフェスのようなイベント。日本からはハイスタンダードもFAT出身だという。
今回僕は、「ハイスタとNOFXが見たい。」という理由で行った。正直ハイスタとNOFX以外の他のバンドは知らなかった。
それではタイムテーブルをご覧下さい。
ステージは2つ。交互に演奏するらしい。時間を見ると、10分ほどしかインターバルがない。ほぼノンストップでライヴが展開するようだ。
12:30
会場到着
入り口のゲートをくぐるとすぐにフードエリアになっていた。いい匂いがただよう。
さっそくステージを見に行く。
思ったよりも広い。サマソニでいうならマウンテンステージくらいか。2万人くらいは入りそう。
客層の年齢層は高め。30代40代が目立つ。メロコアが全盛期の80年代後半〜90年代がド真中の世代。みんないい年をした大人だ。そして7:3で圧倒的に男が多い。妙に居心地がいい。快適だ。すごく快適だ。
では、会場のMAPをご覧下さい。
ステージに注目すると、横並びにステージが設置してある。この2つのステージで交互に演奏するようだ。Aでライヴをしている間にBが転換と準備をするということらしい。インターバルが10分しかない理由がわかった。つまりノンストップでライヴが行われるということか。超攻撃型のオフェンシブなレイアウトだ。全部見たら死んじゃう。
入り口の右側に、FATレコードがリリースした歴代の名盤をコラージュした巨大パネルが飾られていた。圧巻。記念写真を撮る人で混雑していた。
その隣には今回のイベントのロゴのパネルがあった。ここもみんな記念写真を撮るのに行列が出来ていた。
そして、2012年に亡くなってしまったNo Use for a Nameのボーカル、トニー・スライの写真の大きなパネルに、寄せ書きが書かれていた。今回はFATレコードの25周年のアニバーサリーだが、トニーへの追悼というイベントでもあったらしい。
それではライヴが始まったのでステージに向かう。
僕は12:30に会場に到着したので、4番目に演奏するWestern Addictionから見た。
13:00〜13:30
Western Addiction
ステージに登場するなり「30分やるためにサンフランシスコから来ました〜。」と一言。それに対し客の「フォーーーー!!!!」という歓声。僕はそれだけで心が掴まれた。いい感じにユルい。しかし、対象的に音はエッジの効いたガレージパンク。ギャップ萌えってやつですね。
MCがやけに日本語が堪能だと思ったら、ギターの人は日本人っぽい。
僕はこのバンドのファンになった。
朝からなにも食べてなくてお腹が空いたので、フードエリアにご飯を買いに行く。
ローストビーフ丼。
肉が100gなら900円、150gなら1400円らしい。迷わず100gの900円を選択。
受け取ってハッとした。「容器ちっさ…」
かなりのミニサイズだった。これで900円は高すぎる。
ローストビーフ丼と一緒にビールも買った。
この写真は飲みかけではない。渡された直後に撮った写真である。なんだろうこの中途半端な量は。店員のオバちゃんがこれを渡すときに目が泳いでいたのが気になった。なにかの間違いなんじゃないかと思った。これで600円はありえない。
13:40〜14:25
Swingin' Utters
1987年結成のカリフォルニアのバンド。
正統派なパンクバンドという感じがした。特にボーカルの声が渋くていい。クラッシュのジョー・ストラマーの声にちょっと似ている。さっき買ったローストビーフ丼とビールを飲みながら後ろのほうでのんびりと見た。優雅だ。
14:35〜15:20
Snuff
1986年結成のイギリス、ロンドンのバンド。
この時間くらいから会場に人が増えてきた。そしてSnuffがステージに登場してから会場の空気が一変した。Snuff大人気。1曲目から日本のお祭りのような盆踊りのような「ア、ヨイショ!」と、日本人なら誰しもが血が騒ぐリズムで盛り上げる。
このバンドは日本の歌謡曲とかアニメソングをパンク調にカバーをたくさんしているバンドらしい。僕はアンパンマンの歌とかやってくれるのかなと期待していたのだけど、そういうのは今日はやってくれなかった。
なんだけど、すごい楽しかった。ハートウォーミングなバンドだった。
さっきのローストビーフ丼が少なくて、ちょっと足りなかったのでまたご飯を買って来た。カルビとハラミとモツとタンが乗った焼き肉丼。800円。
このあと、ノンストップでライヴを見るためにはいっぱい食っておかねばという危機感からの肉のチョイスである。薄暗いところで食べたので肉がどれがどれだか分からずに食べたし、肉が堅くてアゴが疲れた。今回はご飯はどれもハズレだった。
15:30〜16:15
Good Riddance
1986年結成のカリフォルニアのバンド。
ギターがメタル畑っぽいなって思った。ESPとかのギターでハーモニクスを多様するかんじのハイファイな音。メサブギーのアンプとか使ってそう。このニュアンスわかってくれるだろうか。
そんなことを考えながら焼き肉丼を食べながら見ていた。
16:25〜17:15
1992年結成。カリフォルニアのバンド。
演奏が分厚い。スピーディーで疾走感があるバンドだった。
ボーカルの「ニホンダイスキデース!!!」に対し、客が「うおおおおおおお!!」となり、\ STRUNG OUT!!!!/\ STRUNG OUT!!!!/というコールが会場を包んだ。会場の連帯感に圧倒された。
17:25〜18:15
1990年結成。カリフォルニアのバンド。
個人的にはこのバンドが一番演奏が上手いと思った。グルーヴがしなやかで、音の輪郭が丁寧だった。演奏スキルが高かった。そしてエモい。
このバンドの存在をいままで知らなかったのが悔しい。とても好みのバンドです。
そしてなぜか最後の曲で、子供達を10人くらいゾロゾロ連れて来て、子供達に囲まれて演奏するというアットホームなかんじで終わった。バンドメンバーの家族なのかな…。なんかお人形さんみたいでみんな可愛いお子さんでした。
そして、次は念願のNOFXの登場である。
18:25〜19:15
1983年結成。カリフォルニアのバンド。
FATレコードの代表。今回のイベントの主役である。
僕が高校生の頃、ちょうどメロコアがブームの全盛期で、ド真ん中の世代だった。そんな中でもNOFXが特に好きだった。なんか普通のメロコアとちょっと違うんすよこのバンド。スカとかカントリーとか色んな要素がごちゃ混ぜなバンドなんだけど、色んな要素を消化しすぎなんすよ。しかも嫌味がない。センスという力技でねじ伏せている。で、しっかりポップでチャッチーだから凄い。
高校生の頃から好きだったバンドのライヴを、20年の時を経てようやく見れた。それはそれは感慨深いし。感動した。感動したよ。
19:25〜20:15
このバンドもNOFX同様、高校生の頃から好きだった。横山健のギターに憧れてギターのコピーをして真似もした。僕にとって青春であり伝説のバンドだ。なかなか見れる機会が少ない。ようやく見ることができた。
はじめて見たハイスタのライヴ。度肝抜かれた。想像していたモッシュピットの規模がデカかったのだ。僕は普段ライヴを見るとき、モッシュピットには入らずに、程よい距離でじっくり見るのが好きで、理由はライヴの一部始終をすべて目に焼き付けたいからというのと、音をしっかりと聴きたいからなのだけど。暴れるのも楽しいのも分かってる。でもそれ以上にステージをじっくり見たいのだ。
普通モッシュピットって大抵ステージの最前付近のPAより前で起こるものだと思っていた。どんなにデカい規模のライヴでもそういうものだと思っていた。フジロックだってそう。だから今回もPAよりもちょっと後方を陣取っていた。
しかし、僕のモッシュピットの常識が崩壊した。モッシュピットの規模がデカすぎてライヴが始まった瞬間僕はモッシュの渦の中だった。こんな後方でモッシュが起こるなんて!後ろに下がる事もできない。人の足や腕が四方八方から飛んでくる。あらゆるところでサークルができてるし、こんな後方でダイブまで…!
想定外だ。僕は昼から欲張って結局ほとんど全部のライヴを立ちっぱなしで見ていた。もう立ってるだけで限界だった。こんなモッシュピットで戦えるライフは0だった。
まるでフロア全体がモッシュピットなんじゃないかってくらいの熱気だった。こんな熱気はいつ以来だろう。ブランキージェットシティの解散ライヴ以来かもしれない。
そうか、ハイスタのライヴも今後いつ見れるか分からない。常に解散ライヴのような特別な思いで臨んでいるのかもしれない。
貴重なライヴが見れて良かった。
13:00〜13:30
TONY SLY TRIBUTE
そして、No Use for a Nameのボーカル、トニー・スライの追悼の意をこめて、この日の出演したバンドが色んな組み合わせでコラボして、No Use for a Nameの曲を演奏するという粋な計らい。
ハイスタの3人が演奏し、NOFXのファット・マイクがボーカルで歌うという超貴重なコラボまで見る事ができて嬉しかった。
最後はステージにみんな出てきて客をバックに記念撮影をしていた。みんなそれに写りたくて必死に集まって手を挙げたりタオルを広げていた。
多幸感に満ちた素敵なイベントだった。
楽しすぎて後ろ髪がひかれてしばらく会場で余韻に浸っていた。