downy自主企画「情けの庭」@渋谷WWW X

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downyの自主企画の、downytoeのツーマンを渋谷WWW Xで見てきた。

 

downyの自主企画は2004年以来の13年ぶりらしい。まさかdownytoeのツーマンが見れる日がくるなんて。この2つのバンドが変わらずに活動を続けてくれていることを嬉しく思う。僕が本当に好きな音楽はこれだと、改めて思ったらなんか泣けてきた。

 

まず、さいしょはtoeから。

toeのライブを見るときって、downyのときもそうなんだけど、とにかく集中して見ている。1音1音、すべての音を聞き逃したくないのである。そして、鳴っている音だけじゃなくて、音が鳴ってない音も逃したくないのだ。むしろその音が鳴っていないブレイクの瞬間がゾクゾクする。このブレイクのために音を出してるんじゃないのだろうかってくらいブレイクにこだわってそう。もっとゾクゾクしたい。僕はもっともっとブレイクを欲しがっている。

言ってる意味がわからなくてもついてきてほしい。

音が鳴ってるときも鳴ってないときも集中を要するので気が休まらない。息が止まって酸欠になりそう。この抑制された緊張感は、爆発寸前のパンパンのゴム風船を、爆発しないギリギリで空気圧を保っている状況で、このギリギリのゴムの張り具合が美しいんだとか言ってみんなでキープしているみたいな。このスリルがヤバイくらいゾクゾクするよね!ちょっとなに言ってるか自分でもわかんない。

それにしてもやっぱドラムがやばすぎる。どうしたらあんな繊細なドラムが叩けるのかと。絹のようななめらかさ。ライドの使い方とか見た??細かすぎて手の動きがよくわかんねえんだ。叩く位置と強弱でドラムってこんなに多彩な表現ができる楽器だったのかと。繊細なのにエモいってどういうことなのか。

このバンドはドラムが肝なのはもちろんなんだけど、ベースが全体のリズムを支配していて、僕のブレイクに対するフェチズムは、実はベースに操られている。ベース音の振動で、全身に伝わる振動のオンオフが操作されている感じ。その体に伝わる振動のブレイクが丁寧で繊細なのである。

その上にギター2人の切ないメロのアルペジオが乗るんだけど、2人とも針のようなクリーントーンなのでより一層緊張感を煽っているというか、繊細さをより強調しているうえに、なんでか知らないけどとんでもないグルーヴを出すんですよ。そのたびに何度か涙腺が緩んだ。とにかく圧倒された。

 

 

 

そして、downy

 

やっぱdownytoeと同じで、普通じゃないんですよ。全員。

しかし、toedownyは同じカテゴリーで同じシーンのバンドのイメージだけど、相反するジャンルであるかもしれない。toe有機物だとしたら、downyは無機物。

どちらもリズムに特徴があって、リズム隊が肝なのは共通しているけど、downyのリズム隊はあくまでもミニマル。なんだけど、そのミニマルさが突き詰めすぎて異常。

リズム隊はタイトであるべき。僕はストイックに刻むリズム隊がいるバンドが好き。やっぱこだわるところってブレイクだよね。いかにしてカッコよく音を出さないか。無音を作るために音を出してるんじゃないかっていう。これさっきも言ったけど。

引き算の美学っていうか。音の隙間がリズムを生むわけで。その音の隙間の作り方がこのバンドは普通とちょっと違う気がする。「そこに空けんの?」っていう隙間が空いている。4人とも各々がそれぞれの間で拍を刻んでいるので、不思議な隙間が空いている。かすかにズラした隙間をひたすらキープしてループさせることで、新しい幾何学模様を作っているような。独特なグルーヴを出しているバンドだと思う。

僕は15年程前からこのバンドのグルーヴの中毒になっていて、普通のリズムを刻めない体になってしまい、道を歩くときうまく人混みをかわせない。日常生活に支障がでているほど僕はdownyの音楽にハマってしまっている。