Maison book girl「Solitude Hotel 6F yoru」in 日本橋三井ホール 2018.11.25
Maison book girlのワンマンライブを見に行ってきた。
Maison book girl（通称ブクガ）は、平たく言うと4人組のアイドルなんですけど、もうちょっというと、曲がエレクトロニカを用いたアイドルです。転調や変拍子を多用した曲調が多いです。エレクトロニカのなかでもダウナーでフォークトロニカな感じです。Bjorkとかmumとかアイスランドとか北欧あたりのエレクトロニカが好きな人にはドンズバです。
ブクガのライブはフェスとかで何度か見たことがあったけど、単独は初めて。どんなグループもフェスでチラ見をするよりも単独を見ないと分からないことが多い。ブクガのライヴは単独になるとかなり実験的で攻めた演出だと評判らしい。
今回の会場は日本橋三井ホールという会場なんだけど、ライブハウスというよりも、演劇の舞台に使われてそうな雰囲気。日本橋のハイソなビルディングが立ち並ぶ街に少しテンションが上がった。
会場に入ると、ステージの上に赤いベッドが2つ置いてあった。あのベッド、なにに使うのだろう。その時点でちょっと演劇の舞台を見に来た感覚になってきた。今回のワンマンライブはレコ発も兼ねているらしく、最近リリースしたアルバムのジャケットのモチーフが赤いベッドなのである。
Maison book girl new album “yume” 特設サイト
このステージ上の赤いベッドは飾りじゃなくて、曲の合間にブクガのメンバーが実際寝るんだけど、寝てる間はノイジーなインストが流れるという。転換の役割になっていた。そのインストのノイズがまた不穏な音なんすよ。なんか「世界が崩壊してかろうじて生き残って、最果てにある研究所に逃げ込んだら誰もいない実験室のなかのコンピューターが故障していて不穏なノイズ音を出していた。」みたいなノイズ音。わかりますかねこの感じ。そんなSFの世界をなぜか連想したんすよね。なんでだろう。
とにかく、なんてシュールなステージなんだ。いや、シュールなのはこれだけではないから。まだあるから。それにしてもライブ中にメンバーが寝るという演出は斬新だと思った。
僕はこのグループの曲で特に好きな曲が「rooms」という曲があってですね、この曲はとにかくブレイクがカッコイイ。無音になるところがカッコイイんすよね。
とりあえず下の動画を見て欲しい。なるべくライブの映像が良いと思ったのだけどroomsだけの動画が無かったので、お手数ですが下の動画の6:35のところから見て欲しい。
ブレイクのところで照明が暗転して無音になるんすけど。途中のちょっと長めのブレイクとかdownyみたいでカッコイイんすよね。僕は音楽の一番のインパクトがあるフレーズって無音だと思っていて、どんなにデカい音や、どんなに派手な音を出しても、無音というインパクトに勝るものはないと勝手に思っている。
今回、そのroomsがはじまったとき、照明が暗いまま進行していて「あれ？ブレイクの暗転のときどうするんだろう？」って思ってたら、ブレイクのときにライトが点いた。曲の間はずっと真っ暗という。逆にしてきやがった！
ああ、なるほど、ブレイクが更に強調されている。この光の反転は斬新だ！と、えらく感動した。
新曲の「狭い物語」という曲が1曲目だったんすけど、この曲は赤を強調したMVで、赤い世界から、落ちサビで色がカラーに切り替わる瞬間があって、その切り替わる瞬間がカッコイイMVなんだけど、ステージのVJもそれを再現していたのがカッコ良かったです。
VJとライティングの演出がカッコいいグループなので、きっともっと大きなステージが映えるんだろうなあと思う。デカい会場で見たいし、もっと欲を言えば、曲も生演奏で見たい。エレクトロニカを生演奏で。アコーディオンやストリングスや、アナログシンセを演奏するバックバンドが生演奏するステージが見たい。しかも、音源を完璧に再現するストイックなバンドで。mumもそうだけどBonoboみたいなバンドを勝手にイメージしている。きっとドラムが大変だと思うけど。
そんなバックバンドがいるアイドルグループなんて日本に、いや、世界にもまだいないから、海外でウケけそう。BABYMETALのエレクトロニカ版になりうると思っているんだけどどうでしょうか。勝手なことばっか言って本当にすいません。
話が脱線したけど、
最後にペストマスクを被った人が出てきて、ポエトリーリーディングの朗読をして、ベッドに寝てベッドごと運ばれて終わった。MCは一切無し。
潔い終わり方。
余韻がすごい。
あのペストマスクを被った人たちがなんだったのか謎だったけど、ペストマスクってカッコいいよね。厨二心くすぐられる。エドワードゴーリーとかヤン・シュヴァンクマイエルとか好きそう。やっぱファンタジーっていいよね！と、鼻息が荒くなる。そんなライヴでした。
ちょっと、まだ余韻が残っています。
