Seiho「靉靆」in 寺田倉庫

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日本のエレクトロニカ界最重要人物Seihoが、都内某所で「靉靆」というシークレットイベントを行ったので見に行ってきました。

 

一ヶ月前くらいに本人のSNSで下記のような告知が。

 

  

前売りチケットを購入した人へこんなお洒落な封筒に入ったインビテーションが届いた。

 

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中身は「紹介状」と書かれた紙が入っていた。

「患者様は当院にて検査を行いましたが、精神上の問題が認められているようです。」とのことで、再検査が必要なので来てください。と。

場所は「寺田倉庫 G3-6F」とその住所だけ書かれていた。

 

 

当日僕は会社を定時であがり、品川区にある寺田倉庫に急いで向かった。

 

会場に到着し、係りの人にチケットを提示するとエレベーターの前に誘導された。

どうやら搬入に使うような倉庫ならではのデカいエレベーターで6Fに移動するらしい。100人くらい収容され、重い扉がウィーーンと閉まったとき、まるでディズニーランドのアトラクションにでも入った気分になった。隣のカップルも「なんかホーンテッドマンションみたいだね〜」とウキウキしていた。と思っていたら、中にもスタッフがいていきなり「ご来場いただきありがとうございます」と、喋りだしたのでビクっとなった。よく見ると白衣を着た綺麗な女性だった。カルテのようなものを持っており「当院の再検査の為の案内事項がございます」と。本当にアトラクションみたいっていうか、サスペンスドラマの映画の世界に迷い込んだ気分になった。サイコスリラーが始まりそう。この時点で今日のイベントの世界観が既にはじまっていた。

 

エレベーターで6Fに到着すると、鉄筋コンクリートの広いスペースの中心にステージのようなものがあり、真ん中がガラスで区切られていた、ガラスの両サイドには白い扉があった。360度ぐるっと真ん中のステージが見渡せるような作りになっており、ここでも白衣姿の女性が何人かウロウロしている。白衣の女性スタッフはみんな綺麗で可愛かったのだけど、みんな無表情で機械的な動きをしている。壁に小説の一節のような文書が貼ってあったり、床に散乱していたりしていた。会場内はSFの実験室のような雰囲気だった。BGMも不穏なノイズがループしている。

なんだこの世界観は…。

 

ステージが観やすい場所をキープしてSeihoさんが現れるのを待ったが、なかなか現れない。客層はお洒落な人が多かった。業界人のような関係者っぽい人が多そう。

白衣を着たSeihoがステージに現れた。ステージに設置してある機材に向かい、なにかのつまみを回した途端、いままで会場でループしていた不穏なノイズにグイーーンと 低音が増し、会場全体がビリビリとした。いよいよSeihoのパフォーマンスが始まった。

前半はSeihoのライブで、後半はダンサーが加わってのパフォーマンス、という2部構成のような構成だった。前半はアンビエントから徐々にビートが重なり盛り上がってゆくのだけど、ライヴの途中でステージの最前に白衣のお姉さんがズラッと並び、紐を持って客を無理やり後方に下がらせた。ステージ前方にぽっかりと空間を作り、なにが始まるんだろう…って思ってたら、座布団を床に点々と置いて去っていった。きっと座れってことなんだろう。客は次々と床に座りだした。座布団が無いエリアの後方もそれに習いみんな座りはじめる。こんな風に座って観覧するシステムは斬新だ。しかし、ちょうど僕の立っていたエリアの前の人たちが座ってくれず、僕は立って見ていたけど。せっかくだから座るというアクションに参加したかった。

こういうクラブじゃない特殊な環境では、アンビエントが映える。無骨なコンクリートに響く残響が心地よかった。Seihoさんの音ってアンビエントのときが特に緻密な音のような気がする。

そして暗転して、一度ブレイクを挟み、ダンサーの女性が加わった後半の演出が凄かった。ステージをガラスで区切っていて、ガラスの奥にダンサーがいるんだけど、このガラス、普通のガラスじゃなくて、光の当たり方で鏡になったりガラスになったりするんすよ。なので、ガラスになると奥のダンサーが見えるのだけど鏡になるとダンサーの姿が消えて、Seihoの姿が映る。どんな仕組みなのかさっぱりわからない。この演出は、Rhizomatiksという真鍋大度さんが代表を務めるメディアアート集団とのこと。これが世界のライゾマの技術か…。やばすぎる。二人の姿が映ったり消えたり重なったりするのがライティングでパチパチと入れ替わる。しかも音楽と連動して。こんな視覚表現はじめて見た。映画とかドラマの映像ではCGとかでよく見る表現だけど、現実の生身の人間が消えたり現れたりするのを目の当たりする衝撃。2人がガラス越しで対面するときが凄く不思議で、二人の人間が本当に融合してるかのように見えた。

ダンサーの女性のコンテンポラリーなダンスが素晴らしかった。ショートカットがとても可愛らしくて、最初平手友梨奈が出てきたのかと思った。いや身体能力が違いすぎるか。振り付けはどうやらPerfumeなどの振り付けで有名なMIKIKO先生の振り付けらしい。

演劇や舞台を見ている気分になった。すごく貴重なものを拝見した。こんな素晴らしい総合芸術を、こんなエクスクルーシブに1回だけで終わらせては勿体無い。この感動をもっとたくさんの人と共有したい。そして、自分ももう一回見たい。せめて映像化して販売してほしい。