欅坂46 夏の全国アリーナツアー@幕張メッセ

f:id:inu_suke:20180905221706j:plain

欅坂46のライブを幕張メッセに見に行ってきた。

欅坂のライブはいままでサマソニとビバラポップで見たことがあったけど、フェスでしか見たことがなかった。単独公演という形でははじめて。

フェスはフェスで楽しいのだけど、やっぱり単独でしかわからない魅力ってものがあるんだと改めて思った。どんなグループやバンドでもそうかもしれないけど。

そして、今回ちょっとハプニングがあって、それを乗り越える過程が感動的だったというのもあり、ライヴっていうものは水物というか、一期一会なんだなあと。やっぱ現場に行かないといかんのだなあと思った次第であります。

 

f:id:inu_suke:20180905175108j:plain

 

幕張メッセに到着したのは開演20分ほど前で、僕の席はちょうど真ん中の真ん中あたりでした。幕張メッセの1, 2, 3, フロアのぶち抜きなので、めっちゃ広いです。幕張って広くて開放感があって気持ちがいい。ただ床がフラットなのでステージはだいぶ見にくいけど。会場のSEが雑踏が音楽になってるような現代音楽っぽいBGMがカッコ良くて気になった。もうこの時点でアイドルのコンサートの前とは思えない空気感だと思った。

18:30開演予定で、その時間に暗転したので歓声があがったが、15分くらい押していてなかなかはじまらず。席に座って待ってたら、突然「ゴーーーン!!」とゴシック調の鐘が鳴りライヴがスタートした。あの鐘、まじでビビった。

 

ステージは奥にメインステージと、客席の真ん中に花道があり、円形のサブステージが中央にあった。欅坂のメンバーが横の通路から走ってきて、サブステージに現れた。まさか通路から走って来るとは思ってなかった。全員白いつなぎのような衣装で、まるで時計仕掛けのオレンジのよう。ちょっとダブステップっぽい低音がカッコイイ。

特にステージの演出が、芸術的ですげえなあって思ったんす。今回は「舞台演出のため、ペンライトの使用はスタッフのアナウンスがあるまで使用しないでください。」という事前告知があったらしく、前半の3曲目まで客席のペンライトは点灯していなかったんだけど、1曲目が終わった後のダンスパフォーマンスでメンバーが全員LEDライトを持っていて、円陣になって光らせていたのが芸術的だった。よくライブの演出でレーザーとかが光る演出ってあるけど、その照明効果を人力でメンバーがやってるっていうのが新しいなって思った。ダンスと連動してるし。ダンスの動きで光の形状が変化してるのが見ていて面白かった。欅坂46って元々ダンスがコンテンポラリーでカッコイイので、ステージの演出も凝っているなあと。

それと、3曲目の「エキセントリック」という曲で、メインステージと、サブステージとで10人ずつくらい半々に分かれて、向かい合って踊っていたのだけど、よく見るとメインステージのほうが明らかに人数が多くて、あれ?と思っていたら、サブステージの様子をリアルタイムで撮影してる画面をメインステージのバックの巨大なスクリーンに映していて、メインステージだけ見ると全員いるように見える仕掛けになっていた。まるで鏡に映っているかのような。それに気づいたとき鳥肌が立った。エキセントリックのあの不思議なダンス、巨大なイソギンチャクがユラユラしてるみたいな、巨大な花が咲いたみたいな、あの不思議な集合体が巨大な鏡に映っているように見えたのが斬新だった。鏡の中の世界に入り込んだ錯覚になったんです。あの演出考えた人まじ天才。

 

 

で、その後、4曲目の「ガラスを割れ」からペンライトが解禁になり、水を得た魚のようにお客はペンライトを降りまくり、抑圧されたものが一気に解放され、爆発したように盛り上がった。「ガラスを割れ」という曲はアップテンポのロック調なので尚更盛り上がるという寸法であった。

が、ここで事件が起こった。センターの平手さんが、勢い余ってステージから転倒。途中退場となってしまった。らしい。というのも、この時点では僕はそのことに気がついていなかった。おそらくほとんどの人は気づいていなかったと思う。

その後、MCがあったり、ユニット曲があったりで、普通に進行していたので、全くその異変には気づいていなかった。「二人セゾン」という曲のとき、「あれ?センター平手さんじゃないんだ?」と思ったけど、それも、たまには小池さんがセンターがやるパターンもあるのかな?と思った程度だった。

そのあと、MCで菅井さんから平手さんがステージから転倒し、病院に行っているということを告げられ、「本人が戻ってくるまで残りの私たちでライヴを続けます」と。

ザワザワとしたままライブは進行した。そうか、だからさっきの二人セゾンのとき代役として小池さんがセンターだったのかと。そういえば去年、センターの平手さんが体調不良が重なり、ツアーに出たり出なかったりという時期があった。そのときは、センターのポジションを各曲ごとにそれぞれメンバーが入れ替わって代役をしていた。

じゃあ、今日はこのあとそれぞれ代役に切り替えるってことなのか?それってすっげえ大変じゃん。そんなすぐに段取りを切り替えられるもんなの?舞台裏は大混乱なんじゃないのかと。それだけ「センター平手」の存在が大きいグループなのかもしれない。どうするんだろう?でもさっきの二人セゾンのときは上手く小池さんがカバーしていたので、去年の経験が活かされていたんだろうなとは思った。

そんななか、「サイレントマジョリティ」という曲がはじまった。

 

この「サイレントマジョリティ」通称「サイマジョ」という曲は、まさにセンターの平手が重要なキーとなっている曲であり、デビュー曲でありながら既にアンセムソングとしてのポジションの神曲である。

去年の平手不在のときは、代役として鈴本さんがセンターをやっていた。イントロがはじまり、モニターは鈴本さんがめっちゃカメラに抜かれている。これは「すずもんマジョリティか?!」と思ってたら、まさかの冒頭の歌い出しの平手ソロパートが誰も歌わないという。「え?センター無し?」かわりに、客が合唱するという激アツの展開になった。

歌い出しが歌が無音だったのに対して、一瞬とまどうように間があったあと客が合唱していたのがガチっぽくて胸が熱くなった。

大サビの一番の見せ場の「モーゼの十戒のパート」も誰も居なかった。

 

そして、立て続けに「世界には愛しかない」である。

 

 

この曲も平手パートは無音だった。この「サイマジョ」と「せか愛」のコンボの展開で僕はやられた。あえて誰も歌わないという選択は粋だと感じたし、それを補うように客が合唱する展開が熱すぎた。ドラマチックすぎてできすぎている。このチームワークを目の当たりにしたらもう応援するしかない。モニターに映るメンバーの表情が不安と決意が混じったような凜とした表情だったのが印象的だった。

 

そして、平手不在のまま最後まで進行したけど、最後のダブルアンコールで平手さんは戻ってきた。軽い打撲だったらしく、ひとまず無事だったようで安心した。ラストの曲の「W-KEYAKIZAKAの詩」を全員で歌いライブは終わった。その「W-KEYAKIZAKAの詩」ではステージの上のメンバーほぼ全員号泣だった。緊張の糸が切れたのだろうか。なんかすごくいいものを見せてもらった気持ちになり僕はえらく感動した。

なんていいグループなんだろうなって思った。こんなに一生懸命頑張ってる姿を見せられたらもうなにも言うことはないです。ただただ感動。

完全なものを披露できなかったことになるので、本人達は不本意かもしれない。でも、そもそも音楽という表現に完璧なものなんて無いと思っていて、不完全なものをどう表現したか、その余韻にロックを感じたのです。上手く言えないけどすごくいいライブだったと僕は思う。